刑事コロンボや阿修羅のごとく
刑事コロンボは、私が中学生の頃、NHKで放送されていました。記憶では家族団らんで見ていたと思います。ドラマは最初に犯人が犯行を行い、その犯行現場に刑事であるコロンボが登場し物語が始まります。まさに犯人捜しのドラマではなく、犯人がコロンボと対峙してその犯行の瑕を積み重ねて、ついに逮捕に結びつける心理劇です。犯人は、富豪であったり、著名人、有名人、名士など世間的には成功を収めている人々で、コロンボ刑事は警察の中で警部という役職ですが、組織の中のピースの一部にすぎません。そんな彼が世間的には大きな成功者である人物に挑む物語です。彼の真骨頂は、犯人を油断させて近づき、その犯行を断罪するものです。対比するつもりはありませんが、西部警察という刑事ドラマがありました。石原裕次郎、渡哲也、舘ひろしなど豪華キャストで、ドラマの中でたばこ、ビールなんでもありで、ど派手に火薬を使って爆破したり、車を大破していました。今思えばなんというドラマだったのでしょう。とは言え、大人がバスでタバコを吸い、私も札幌へ行く電車の中でタバコを吸っていました。そんな時代があったんですよね。刑事ドラマは日本でも黒澤作品の「野良犬」以来、多くつくられていたでしょうが、刑事コロンボは異色の作品に間違いありません。今もBSなどで放映していれば見てしまいます。
ところで、家族団らんといえばこれもNHKで放送された番組ですが、阿修羅のごとくという向田邦子原作のドラマがありました。私が高校生の頃の放送で、クライマックスの場面で、トルコの軍楽「メフテル」が効果的に流れます。そのあまりにも印象的な楽曲が今も記憶を離れません。ある時CSの日本映画専門チャンネルだったと思いますが、再放送があったので数十年ぶりに見たのですが、その内容が、父親の不倫を中心に四姉妹の人間模様を描いた作品で家族団らんで楽しく見るドラマとは程遠いものでした。しかしどろどろの人間模様というよりは何かからっとした印象を残す演出で、和田勉の手腕が発揮された作品と言えるでしょう。家族で見ていた理由がそのあたりにあったのでしょう。
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