山野草の開花
6月の第二週に旭展望台の散策路と赤岩山を散策しました。6月は小樽では積雪期以外キノコの発生の確認が最も少ない月のようです。今回は早春に見かけた山野草の開花の様子を主にご紹介します。最初に見つけたのは、ササバギンランとベニバナイチヤクソウです。
ササバギンラン 山地の落葉樹林下に生える多年草。ギンランよりも大型で葉が細長くササの葉に似ていることが由来です。
ベニバナイチヤクソウ 小樽では6月によく目にします。ピンク~薄紅色の花が下向きに咲きます。特徴的なのは、半寄生の植物で光合成を行いますが、足りない場合栄養を菌類から摂取するそうです。
続いて見つけたのが粘菌の仲間であるマメホコリです。広葉樹林などの腐敗した木の上に群生、密生します。アメーバのように動き回った後、豆粒のような子実体をつくってホコリのような胞子を飛ばすようです。
タニギキョウ キキョウの仲間で、谷間や日陰を好んで生えます。今回多くの群生を確認しました。とても小さな山野草です。
クルマバソウ 葉のつき方が車の様子を思わせるので、この名がついたようです。6~10枚の葉が平均2段あるのが印象的です。似たような山野草にオククルマムグラがあるようですが、今回はクルマバソウとしました。
マイズルソウ この山野草は小樽ではどこでもお目にかかりますが、山菜としての利用価値はないようです。しかし熟した果実は甘酸っぱく美味しいそうです。
ヒナノヒガサ 春~秋、苔類の間に発生。とても小さな可憐なキノコです。
ツクバネソウ 花の形が羽根つきの羽根に似ているとしてこの名が付きました。
カタクリ 種子が裂開して飛び出す前の状態です。
エンレイソウ 果実の状態です。
タニウツギ 日本特産。北海道の西部、東北地方、北陸、山陰地方に分布し、主に日本海型気候の多雪地で、日当たりの良い山地の谷沿いや斜面に見られます。ピンクがきれいなよく目立つ山野草です。
ノビネチドリ ラン科の山野草で山を歩いているとよく目立ちます。
ヒイロガサ 傘は径4~7mm。目立つ赤色をしています。食用になるようですが、食べるほどたくさん出ていない印象です。
ギンリョウソウ 光合成をしない寄生植物。ベニタケ属、チチタケ属などのキノコに寄生し、これら菌類と共生関係にある樹木から光合成によりつくり出された有機物を菌経由で得て生活しています。とても複雑な植物です。
バイケイソウ 春に大きな若葉を見かけますが、今回初めて花を確認しました。
ユキザサ 春の代表的な山菜。和名の由来は「雪笹」の意で、花が白いので「雪」、葉が「笹」に似た形状なのでこの名がついたようです。
今回同定に至らなかったもの
今回は山野草を中心にご紹介しました。山野草は春の芽吹きの頃から開花、結実まで長くその生態を観察できます。春を中心に開花する小さなものから、大きく葉を伸ばし2~3mもの大きさになるものまで様々な種固有の戦略があるようです。それは長い間をかけて行きついた種の保存則なのでしょう。今見ているのが完全形ではないかもしれませんがそれぞれの個性を活かした生存戦略には興味をそそられます。キノコが少なかったので、そんなことも考える1日でした。
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