キノコがない
9月の第二週、山に入りました。見事なまでに何のキノコも発生していません。何か異常を予感させる状況でした。それは今年の夏の気温が異常に高かった事と関連があるのでしょうか。前回の記事でもご紹介した通り、今年の小樽の8月の月平均気温が例年より3℃高かったようです。これは初めての経験であり、とてもきつい夏でした。それがキノコの子実体発生にどう影響したのか。まず考えられるのが、地温、気温、湿度でしょう。発生に適した条件を満たして菌糸体は子実体を形成します。子実体の発生を促さない菌糸体の環境…。菌糸体は60℃で死滅するそうですが、これは山火事でもない限り、現実的にはありそうにありません。では発生環境が整わなかったので発生しなかった。そもそも菌糸体の寿命はどのくらいなのでしょう。一説には、1年から数年と言われています。つまり今年を逃せば来年の発生が期待できない種もあるということです。環境が整わなければ種の継承を断念せざる負えないキノコもあるでしょう。もうひとつ気になったのが、山を歩いていて風が吹いていないということです。キノコが子実体を形成し、成熟して胞子を飛ばすのですが、遠くに飛ばす条件として風は欠かせないように思われます。もちろん胞子の大きさはとても小さく20~40ミクロン(1000分の20ミリ~40ミリ)程度なので気圧の変化(例えば1日の気温変化による空気の移動)で飛散するでしょうが、気流に乗って、たとえば偏西風に乗って胞子を飛散させる種もあるかもしれません。これもまた子実体の発生を阻害する一因になるのではないでしょうか。少し横道に逸れますが風力発電は、たとえば海上から陸に吹く風を利用してタービンを回しますが、当然大気の移動エネルギーを運動エネルギーに変換するので、風車の後ろ、すなわち陸に今まで吹いていた風が弱くなります。それは気温が高くなったり、湿度が低く乾燥したりなどの影響を少なからず受けるはずです。この影響評価を考えるとき、キノコならずともあらゆる環境に影響が及ぶのでは、と危惧しています。さて話をキノコに戻しますが、今年子実体の発生を見送った種が多くあるとします。そしてこの環境(暑い夏)が続いたとするとキノコの環境に悪影響を及ぼすことは否定できないでしょう。それは、米どころが東北から北海道に移動するような、ブリなどの本州で漁獲される魚が北海道で大量に回遊するような、環境の変化がキノコにも影響するのではないでしょうか。これをキノコに例えると、胞子の寿命は数日から数年と種により幅があるようですが、いままで小樽に見られたキノコが環境の変化で激減し、環境が整った道北にいままで発生しなかったキノコが大量に発生するということも考えられます。いずれにしろ、9月~10月がキノコ発生のトップシーズンなのでもう少し注意深く山へ入り観察を続けます。
この日見つけたキノコ ハラタケ、新種?
この日、小樽公園で、ハラタケを見つけました。とても大きな状態で遠くからでもすぐにわかりました。
その後、違う散策路に回り散策を続け何の成果もないまま車に戻ろうとした寸前に、不思議なキノコを発見しました。とても小さなキノコで腕様の直径が4cm程だったでしょうか。最初はキノコとは思えなかったのですが、腕様の下に柄のようなものがあり、図鑑で見たことのあるイカタケのようでした。とは言えイカタケも見たことがなく、これに近いキノコも図鑑には載っていないので、同定はできません。何とも好奇心をそそる一品でした。継続して観察していきたいと思います。
コメント
昨年ですと落葉が既にでている時期になりましたが、やはり今年は例年と違っているのですね! 先日お写真にあった白いキノコを見かけました。望洋東公園の歩道近く。ふわふわ柔らかく、つま先で突いたら崩れました。
朝晩の気温が下がるようになったら、例年通りたくさんのキノコがでることを期待したいと思います。
コメントありがとうございました。ハラタケは食用になるのですが、大きすぎ食欲がわきませんでした。これからもよろしくお願いします。